【基盤としての課題】
今般、地方経済においては、全国的な人口減少、及び少子高齢化、並びに有効求人倍率の上昇(絶対的労働力不足)と相まって、域内からの労働力流出の増加、及び域外からの労働力流入の減少が顕著となってきております。
特に、若年層に至っては、大学進学と共に都心部に流出した者の都市部での定着が進んでおり、他方、大学進学等によって流出することなく域内にとどまった者の域内での定着が進んでおり地方経済の固定化(変容し難さ)及び地盤沈下が進んできております。
このことは、統計から見た場合に、都市部での人口増加、及び地方での人口減少、並びに都市部での地価の上昇、及び地方での地価の下落から見ても顕著であり、経済活動的に見ても、生産性の高い産業(事業上の機能)の都市部への集中、及び生産性の低い産業の地方への集中に起因するような、都市部と地方とでの賃金格差の生じる土壌にもなっております。
このように、我々の経済活動を行う基盤たる地方経済には、地方経済固有の課題が存在しており、例えば、大都市でもあり地方都市でもある米国におけるデトロイトが、近年の米国自動車産業衰退とともに大規模な地盤沈下を起こしたことは世界的にも有名でありますが、いつ何時でも、何かを引き金にしての凋落が起こりうることを地方経済は認識しておかなければなりません。
【基盤としての役割】
イノベーションの基礎は、人間同士の価値の交換(分解された課題及び課題解決手段の情報交換)にありますが、有益な価値の交換は、これを成り立たせる経済基盤の社会基盤等のコミュニティーがあって初めて実現可能であります。そして、これら基盤の絶対的なサイズに依存するものではなく、相対的なスケールに依存して成立します。つまり、単純な人口(絶対的なサイズ)でイノベーションは語られるものではなく、いわば、点を線にし、線を面にし、面を形にし、形に時間を加えて実体化させるプロセスを相対的にスケールさせる一連の物語であります。換言すると、生命の連鎖的進化サイクルと同義と言えます。
今般、「イノベーション」という用語が宙に浮いて独り歩きしているように見受けられます。それこそ、結果的に社会変革に寄与した最終機構のみに与えられる称号としての「イノベーション」として認識されているようにも思うところであります。これは、一見して、そのとおりでもあるといえますが、メカニズムとしてのイノベーションにとっての基礎は、「人間同士の価値の交換(分解された課題及び課題解決手段の情報交換)」にあることを忘れてはなりません。一連の、いわば「生命の連鎖的進化サイクル」を経て達した社会変革がイノベーションであるとき、その始まりは、「人間同士の価値の交換」にあったということであり、基礎なくしては何も生じなかったということを認識する必要があるでしょう。
このように、社会は、生態系という基礎的基盤にあるように、人々の間で価値の交換が適切になされるように基礎が整備されなければ発展は見込めません。そして、適切な価値の交換が生じた結果、社会変革に寄与した最終機構のみに与えられる称号としての「イノベーション」が、一連のプロセス全体を通して「イノベーション」として人々の間で共有されるように基盤は整備され続けなければなりません。
イノベーションの一連のプロセスについては、例えば、「出会い」→「付き合い」→「結婚(つがい)」→「出産」→「子育て」→「巣立ち」→「出会い」・・・と、置き換えてもよいでしょう。人類を含めすべての生命の進化を鑑みるに、これこそ、まさに、イノベーションであり、エボリューションであり、レボリューションであります。
我々は、基盤を整備し続け、基盤上で人間同士の価値の交換が適切になされるよう取り組まなければなりません。換言すると、「出会い」や「付き合い」が適切になされるよう、基盤を整備し続ける必要があります。
【基盤としてのビズキャリアプロジェクト】
ビズキャリアプロジェクトとは、人々が価値を交換し合う基盤たる地方経済において、地方経済の地盤沈下を防ぐことはもとより、真にイノベーションが生じ続ける土壌を形成することを目的として、「仕事」にフォーカスし、事業者の生産価値の向上、及び個人の労働生産価値の向上を図るための事業を行うものであります。
特に、人々の間で適切な価値の交換がなされる始まりとしての「出会い」の重要性に鑑み、事業者と個人との「出会い」の橋渡しについて重点的に事業化させます。
また、橋渡しを行った「出会い」からより大きな価値が生じるよう、その前後のプロセスについても事業化させます。
例えば、次のように事業を展開します。
1.都市部に流出した若者が故郷で活躍しやすいように
2.都市部に流出しようとする若者が域内において活躍しやすいように
3.周辺地域から人々が集まりやすくして域内の経済規模を拡張しやすいように
4.域内における生産価値が上昇するように雇用流動性を発揮させやすいように
5.若年層の就業定着率を高められるように
6.人々がより自己表現しやすい仕事に就けるように
このように、公益的観点から事業を編成しつつも、税金等の予算に依らない、地域資本及び地域有志による独立独歩の持続可能なビジネスモデルとしてビズキャリアプロジェクトを展開します。